
ナノトップ 事業内容
「真円度を極める」高難度な超精密加工を実現するナノトップ

ナノトップ(株)の前身、東北広重工業は、金属加工を得意とする会社として1978年に創立しました。熱交換器用バルブの特許を強みに、エアコンのバルブは当時、世界シェアの8割を誇っていました。
1980年代初頭になるとVTR(ビデオテープレコーダー)の需要が一気に高まり、VTRの心臓部であるドラムの生産をスタート。ミクロン単位の精度が求められる精密加工において、創業当初より磨きをかけてきた「真円度の徹底追求」によってこれを可能にし、ソニーの大ヒットモデル「CCD-TR55」(パスポートサイズのハンディカム)をはじめ、多くの国内電機メーカーから注文をいただくまでになりました。
その後、2000年以降はソニーの業務用ドラムを手がけることで技術を高め、2008年にソニー(株)の100%子会社としてナノトップ(株)に社名を変更。ソニーの業務用ドラムの生産を一手に引き受け、高難度なものづくりを高い品質で実現しています。
精密加工の極みともいえる業務用ドラムの生産によって、ナノトップは技能を蓄え、成長してきました。2016年からはソニーのものづくりを担うソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(株)(以下、SGMO)の100%子会社となり、加工技術の横展開を図っています。長年にわたって培われた匠の技と、ソニーのものづくりにおける最先端技術・ノウハウを受け継ぎ、精密カメラ部品、医療用部品などを手がけるナノトップは、ソニーグループの一員としてソニーのものづくりを支え、さらに高難度な超精密加工に挑戦し続けます。
主要生産品
デジタルカメラ部品、医療用部品、放送用・業務用機器部品など
レンズ鏡筒部品 ~「G Master」に魂を込める匠たち~
ナノトップは得意のアルミ切削技術を進化・拡大させ、加工が難しいといわれるステンレスやチタン、現在はマグネシウムまで幅広く対応しています。その技術は、ソニーが最先端の技術と妥協のない最高の設計水準で挑む最高峰の交換レンズ「G Master」に活かされ、大口径超望遠単焦点レンズ「FE 600mm F4 GM OSS」では、軽量かつ堅牢性の高いマグネシウム合金製部品を鏡筒本体の外装をはじめ全面的に採用することで、世界最軽量(※)を実現しました。
「G Master」は、レンズの解像度を極限まで引き出すための光学・メカ設計と、それを具現化するための加工・組立技術の融合により実現。1/1000mm(ミクロン)単位の要求も、ナノトップの高度な精密加工技術と品質管理技術が支えています。業界トップクラスの加工マシン、測定機を数多く有し、独自の加工プロセス・管理プロセスにより、製品のバラつきを限りなく抑えた精密加工がナノトップの強みです。
※ 35mmフルサイズセンサー搭載デジタルカメラ用の焦点距離600mm F4交換レンズとして。2019年6月広報発表時点。ソニー調べ

デジタル一眼カメラα[Eマウント]用レンズ「FE 600mm F4 GM OSS」

ナノトップが手がけるフルマグネシウム合金製の鏡筒

ナノトップのレンズ部品ものづくり現場
医療用部品
試作段階で、ある程度完成度を高め、量産しながら改善していく手法をとる民生向け商品用の部品と異なり、医療用は量産時の変更が一切できないため、試作段階でハイレベルな完成度まで仕上げることが不可欠です。ナノトップは、医療機器の専門知識やソニーの管理手法を習得し医療用部品においても高い品質を実現。新たな分野に果敢に挑戦しています。

業務用ドラム ~VTRの心臓部、ここにしかない技術~
現在も、主に放送局で使用されている磁気テープ式のVTR(ビデオテープレコーダー)。高品位の画質と安定性が要求されるため、高い水準の技術を組み合わせて作られています。中でも機構ユニットにおいて、円筒形の「ドラム」と呼ばれる部品は、磁気テープを走行させて画像の記録、再生を行う中枢部であるため、特殊な材料で円筒面の平滑性、摩擦特性や導電性、熱膨張性を向上させ、寸法精度と、真円度、円筒度、同軸度等の幾何公差も含め、広範囲な特性を同時に満足させる事が要求されます。この難易度の高い技術を保有するナノトップでは、今なお活躍するソニーの業務用VTRにおけるドラム部品の生産を一手に引き受け、各放送局に提供しています。

VTR業務用ドラム(左)組立後(右)

MPEG IMXレコーダー「MSW-M2000」